オコゼ
季節とともに魚の旬も移り変わっていきます。これからの時期に旬を迎える魚にはオコゼがあります。オコゼは、その味の良さから「夏のフグ」ともよばれるほどの高級魚で、主に刺身や煮付け、汁物などにして食べられている人気の魚です。オコゼとはオニオコゼ科、ハオコゼ科の総称のことですが、一般には食用にされるオニオコゼのことを指します。漢字でオコゼは「虎魚」、オニオコゼは「鬼虎魚」と書きます。名前のイメージ通り頭はひどくでこぼこしていて、鬼のような面構えです。その姿の醜さから、昔、山の奥深くに入る猟師のあいだでは、干した物が魔除けとして利用されていたそうです。オコゼが恐ろしいのはその姿だけではありません。背びれには毒をもっていて、刺されてしまうと激痛が走り、ひどく腫れてしまいます。特にオコゼの中でもオニダルマオコゼという魚に刺されると、人間でも10分以内に死に至ることさえあるといいます。オコゼは意外と浅い海にもいて、背びれにある毒のとげは、スキューバダイビングで使用するマリンスーツを突き抜けることもあり大変危険なのです。食卓では歓迎しても海の中では出会いたくない魚ですね。